まだあと2時間ぐらいは帰ってこないはずなのに、 この部屋に続く長い螺旋階段を登ってきているのは間違いなく王子だ。 とりあえず、お出迎えしなきゃ。 手に持っていた本を目の前の机に置き、 部屋の扉へと手を伸ばして開け……ようとした。 だが、王子が部屋の扉を開ける方が早かったようだ。 「お、王子!お早かったんですね。」 「ヘレン……俺が来たのに気づいたのか?」 「はい、もちろん。」