「……」 コツコツと、ハイヒールの音を立てて 重たい扉を開ける。 そのまま奥に進めば、 全面鏡と、ロッカー。 そして気持ち悪いほどの、女。 「あ〜、椿〜!」 このお店で話しかけてくる女は 蘭しかいない。 「おー、蘭!昨日ぶり〜!てか朝ぶり〜!」 「えーなに〜今日赤じゃん! 蘭と被ってるんだけどー!最悪ぅ〜!」 可愛しい口をとんがらせながら 自分のロッカーから青いドレスを引きずり出してきた。 「今日の椿、ニヤニヤだねーキモー」 「え?!嘘っ!」 「…ぷ!!なになに〜男〜?」