C「大丈夫?何があったの?」
G「はじめて…」
C「ん?」
G「初めてトウヤに怒鳴られた」
C「だからなんで・・・」
G「別にいいだろ、ほっとけよ、俺も帰る」
C「嫌だよ、ほっとけない!話くらい聞けるよ?」
G「…」
C「聞かせて」
G「…はぁ、気が強いって便利だな」
C「失礼じゃない?」
G「褒めてるよ」
C「本当に?」
G「うん。じゃあちょっと聞いて欲しいかも」
C「しょ、しょうがないなぁ…」
G「はは、お前変わってるな」
C「え、普通だよ、私」
G「そうかな。…実はさ、俺とトウヤ、中学では立場逆だったんだ」
C「部長と副部長?」
G「そう。トウヤは昔からあんな感じで人に好かれるし、バスケも本当に上手くて、部長で、みんな憧れてた」
C「シュンも?」
G「うん。俺の中での部長ってあいつしかいないんだ。だから部長はトウヤがよくてさ」
C「私は部長になりたいけどな、譲りたくない。まぁ、なれなかったけどね!」
G「俺はアヤノほど強くはないから」
C「私だってそんなに強くないよ…。ミズキやナナには敵わないことだらけだって分かってるから」
G「俺もさ中学の頃からずっと適わなくて、トウヤに追いつきたくていつも練習してた。でも、抜かそうと思ったことは1回もなかったんだよなぁ」
C「トウヤはやっぱり少し違うもんね、ミズキみたいなかんじ」
G「あいつらにはさ、もともと才能があって、でも俺にはそんなのなくて、それが本当に羨ましくて、でも楽しそうにバスケするから、恨んだりとか絶対出来ないんだよなー」
C「分かるよ。私もミズキのバスケ好きだもん」
G「俺もトウヤのバスケ好きなんだ。だから、ずっと憧れていたい」
C「いいじゃん」
G「でも、俺トウヤのこと怒らせた」
C「さっきの?」
G「そう。トウヤが傷つくようなことたくさん言った。思ってもないこと。だから、トウヤは何にも悪くないんだ」
C「でも、トウヤだってシュンを突き飛ばしたりしてたじゃん」
G「それほど怒らせた俺が悪い」
C「そうかな」
G「部長になってから。トウヤに憧れるのをやめようと思ってるんだ」
C「なんで部長だから?」
G「そう、なるべくトウヤと差をつけたくなくて、でも俺にはやっぱり部長なんて無理だよ。どうしても憧れが消えないんだ、俺が前を歩くには、トウヤに憧れすぎた。俺はトウヤに追いつくことなんて出来ない、こうやって憧れている間はずっとそうなんだろうな。トウヤは認めてくれたのに、俺は俺を認められない。……」
1人で独り言のマイナス発言が止まらない
かける言葉が見つからないアヤノ
C「シュン…落ち着いて」
G「アヤノみたいなやつには分からないよ!お前みたいに自信がない。最初から前に立ちたいなんて思ってもいないんだから、俺はただずっと追い続けていたいだけなのに!!この関係が俺とトウヤの関係を壊してくんだ!」
ちょっと前のタイミングでツヨキとヨワキが顔を見合わせる
アヤノに近づき背中をトンと押して、アヤノが1歩シュンに近づいた
振り返ると
暗転ピンスポ
E「」
F「」
去るEF
明転
C「シュン!!」
なんか、接触だァ手かな
C「憧れたままでいいんじゃないの?!私はね、ずっと強がって弱さを隠してたけど、弱さを見せないと伝えられないことがあるって知ったの。その弱さががシュンにとってトウヤへの憧れなら、トウヤへの憧れを隠しても何も伝えられないよ。……部長だからって前を歩かなきゃいけないわけじゃないよ。追い続けたいなら後ろじゃなくてさ、隣を歩けばいい」
G「アヤノ…手」
C「はっ、ごめん!!!!!うーーーーん、なんて言えばいいんだろう。もっといいことを言いたいんだけど」
G「アヤノ」
C「待って、今言葉を絞り出してるから」うーん
G「ありがとう、もう大丈夫」
C「そう?」
G「うん。…俺お前のこと誤解してたかも。もっときついヤツかと思ってた」
C「シュンの私のイメージ悪くない!?気が強いとかキツイとか…」
G「今はそんなこと思ってないよ」
C「本当に?」
G「アヤノが来てくれて助かった」
C「はは、感謝してよね」
G「はいはい、…あれ?そういやお前家こっちだったっけ?」
C「え」
G「なにかあったんじゃないの、大丈夫?」
C「あーいやー、うーん…実はシュンに言いたいことあって探してたんだけど」
G「あ、そうなの?なに?相談なら聞いてやるよ」
C「相談…じゃないんだけど、あのね実は……実は…」
ずっとボールを見続けるシュン
G「ん、なに?」
C「いや別に、……やっぱり私はいいや。早くトウヤと仲直りしてね」
G「うん、追いかけるわ」
C「気をつけて」
G「あ、今度何か奢ってやるよ、お礼に」
C「忘れないでね!!」
G「おう」
G去る上手
C「もしもしミオ。ごめん、出来なかった」
C去る下手
暗転