着信音♪
照明CI
C「あれ、」いない
C「あ、ミオ…」
C「…もしもし」
D上手から入場
上手寄りで電話
D「あ、アヤノ!?シュンいたよ!学校の近くの公園に!」
C「…」
D「アヤノ?」
C「あ〜、おっけおっけ!今から行くね」
D「え、うん。帰らないように引き止めておこうか?」
C「いや、いいよ。…シュン誰かといる?」
D「うん。トウヤといるよ」
C「…そっか…」
D「うん」
C「…逃げることが重要なことだってある。ね……」
D「え、なに?」
C「ねぇ、…やっぱりもう少し考えてみようかな」
D「え、どうして今日じゃなきゃ言えないって…」
C「そうだけど。やっぱり怖いじゃん。伝えたら、今まで通りじゃいられないでしょ?」
D「そんなことないよ。伝えることが大事なんだもん」
C「そうかもしれないけど!でも、私みたいな…私みたいな強がりな女、シュンは好きになってくれないでしょ?」
D「そんなことないよ?どうしたの、急に」
C「分かんない…分かんないけど!今はいつもより心が重たくて。いろんな気持ちがごちゃごちゃしてて。告白したくてしょうがないのに、それが怖くていつも通りじゃいられない。これがきっとヨワキのせいなんだ」
D「アヤノ…?」
C「本当はね。ナナに言われる前から分かってた。本当の私は強くなんかなくて、人に嫌われることが怖くって。本当はみんなから必要とされたくてずっと強がってたの」
D「みんな、ちゃんとアヤノのこと必要としてたよ?」
C「でも、私は1番じゃないんでしょ?」
D「1…?」
C「1番必要とされたかったの!1番になりたかったのに…。バスケはミズキより上手くなれなかった…。ナナより人に信頼されなかった…。エースにも部長にもなれなくて。いつも2人の変わりばっかり…ミズキやナナの次、次、次!」
D「そんなことないよ」
C「あるんだよ!!2人より努力しようとしても、2人の方がずっと努力してて、もう敵わない!追いつけない…でも、そんなこと言ったら私はもっと必要とされなくなる。だから、もっとツヨキでいなくちゃって」
D「じゃあ今までのアヤノはずっと強がってただけってこと?」
C「そうだよ!本当は誰かの一番になりたくてずっと強い自分を演じてた!………。シュンのことが好きなのに自信もなくなって、自分の感情が嘘なんじゃないかって、怖くなる」
D「でも、全部嘘じゃないでしょ?」
C「分かんないよ!」
D「嘘じゃないよ!」
C「はぁ?」
D「嘘じゃない」
C「どうしてよ!?どうせミオだって私のこと1番だって思ってないくせに…」
D「1番だよ」
C「…な」
D「1番憧れていたし、1番頼りにしてた、1番の友達で、…それじゃダメかな?私なんかじゃ…」
C「嘘言わないでよ!」
D「嘘じゃないよ!!アヤノの1番がナナやミズキでも、私はアヤノを1番だと思ってた」
C「でも、それは作られた私で…!」
D「それも全部アヤノでしょ?私は別にあなたが強いから一緒にいたわけじゃない!」
C「…(泣けー」
D「弱さだって受け止めてあげられる。私のことをもっと信じて。アヤノの弱さを見たぐらいで私のアヤノを好きな気持ちは変わらないから。強くなくてもいいんだよ」
C「なにそれ。好きって…(笑え」
D「去年アヤノのバスケを見てからずっと、アヤノのバスケが好きだった。だから友達になれて本当に嬉しかった」
C「ナナやミズキより?」
D「うん」
C「私、弱いよ?」
D「強さには弱さだって必要だよ」
C「プライドばっかり高いし」
D「バスケ、大好きだもんね」
C「性格悪いし」
D「それはいまさらでしょ」
C「これからミオのことたくさん傷つけるかも…」
D「それでも私はアヤノが1番だと思うはずだよ」
C「……ほ、ホントかよ。もー」
D「うん。だから弱い気持ちも怖くないって」
C「じゃあ、シュンにふられたら一緒に泣いてくれる?」
D「うん」
C「これからも一緒にわらってくれる?」
D「うん」
C「約束してよ?」
D「する」
C「だったらもう、怖いものなしだ!」
D「うん!」
C「行くよ。シュンのところに。まだいる?」
D「いるよ」
C「ありがとう。ミオはかえってもいいからね。ごめん、付き合わせて。また電話する」
D「うん。頑張って」
C「うん」
電話切れる