「高広先輩、きっと大学でもモテるんでしょうね。どうするの?ライバルだらけになっちゃうじゃん」

「先輩と私の愛の力は無敵なのって言いたいところだけどやっぱり不安だよキラキラ女子大生の魅力は底知れないからね」

「真顔で言うのやめてくれる?」




……だけど。




「でもね、先輩にもらったネクタイがあるし!!これは私は先輩のものっていう印みたいなものだし!だから頑張るよ!!」

「はいはい。良かったねー」

「スルーのスキルがすごいじゃん……!」




小春をこんな風に笑顔にできるのは、俺じゃなくてアイツだ。

知ってる。
知ってるからこそ、悔しい。


笑ってる小春を見て安心している自分が、ちょっと悔しい。




「あ、小春。なんか呼ばれてるよ」

「え?……げっ、数学の先生だ。学年末テストちょっと点数悪かったからかな……」




顔をしかめながら席を立った小春。

その後ろ姿を見ていると、不意に斎藤が顔を覗き込んできた。


恥ずかしいけど、女子の免疫はないから。

これだけで少し顔が赤くなってしまう。




「な、んだよ?」

「いや別に?案外平気なんだなって思って」

「はぁ?」