「……あっ、やっと来た。風邪はもう大丈夫なの?」




他の人よりも久しぶりの教室。

入ってきた私を見つけるなり声をかけてきた柚木に、私は笑ってみせた。



「まだちょっと喉が痛いー」

「本当だ。ちょっと枯れてる。いやでも、バカは風邪引かないって言うのにね」



ひどいなぁ、なんて言いながら自分の席に座る。



『俺が、お前のことが好きだって言ったら、また好きになってくれんの……?』



あの後、見事に先輩の風邪が移った私。

始業式から3日経ってから、やっと学校に来れるようになった。



……先輩にキスをされてから、どうやって自分の家に帰ったのか、全く覚えてない。

それぐらい、衝撃的だった。