顔を上げると睦月がいて。 「1限教室移動。他の奴らもう行っちゃったけど」 「あ、そ、そっか!ぼーっとしてた!」 慌てて教科書とペンケースを持って睦月と一緒に廊下に出る。 「……お前さ、」 「え?」 睦月の声に首を傾げる。 「……いや、何でもない」 左の手のひらは、ギュッと握りしめ続けていたせいで赤くなっていた。