「つーか、なんでお前ここにいんの」


「廊下から先輩がこのベンチに座ってるところを見かけたので!」


「……お前、友達とかいる?」





単語帳片手に、少し心配そうな顔をする先輩。

し、失礼な……っ。



私にだって柚木とか睦月とか、仲良い子ちゃんといるもん。





「先輩こそ、一人でこんなとこいるじゃないですかっ」


「教室はうるさくて集中できねーから」





ペラっとページをめくる。


ムスッとする私。





「……先輩を見かけたら、そこに飛んでいってしまうぐらい私は先輩のこと想ってるんです」





きっと先輩にはこの気持ち分からないだろうけど!



ベンチの背もたれに腕を組んで、心の中でため息をついた。

先輩め、少しは私の好意を意識してくれたっていいじゃないですか。