綺麗な透明のケースに大事に収納されていたものは。



白いリボン。



イニシャルの刺繍がしてある、特別なもの。

そのリボンに見覚えがあった。

四年前のあの日、私が彼に結んだものだったから。


震える手でそろそろと透明なケースを持ち上げる。


どうして?

どうしてこれがここにあるの?

あの日から。

四年もの間、こんなに大事に取っておいてくれたの?

……私を忘れないでいてくれたの?


『ずっと探している女性がいるって仰っていたわ』


いつかの田村さんの言葉が頭をよぎる。

探してくれていた、私を……。

どうして?



胸が苦しい。

ドクン、ドクン、ドクン。

心臓の音が耳に煩く鳴り響く。

正体のわからない温かな感情が胸に溢れ出す。



反対にケースを持ち上げる私の手は震えてとても冷たくて。

どうすればよいかわからなくなる。

千歳さんが言っていた『大事なもの』がまさか。


私のリボンだったなんて。