お手伝いさん、家政婦さんもどきのことをするだけなのに、何か不穏な気配を感じて。


「……あの、一般的なお手伝いさんの感覚で本当に……いいんですよね……？」

恐々尋ねてみた。

「ええ、ええ！
勿論よ。
でもね、実はお願いしたいのはそれだけではないの。
特別にお願いしたいことがあるの」


ニッコリと何処か威圧感すら感じる笑顔を浮かべて、有子おばさまが私に向き直る。

何故か公恵叔母さんも、有子おばさまの隣に移動して私をじっと見据える。


「……何ですか？」

嫌な予感を覚えて聞き返す。



「千歳の女性関係を探ってほしいの」



ハッキリ、キッパリ言い切る有子おばさま。

思わず瞠目する。


「……はい？」

「千歳ってば、今までに一度も私に彼女を紹介してくれたことがないのよ。
学生の頃はまあ、それなりに蘭から話は聞いていたのだけど。
社会人になってからは、蘭にも話していないみたいで！」

「わかるわあ、それ。
瑞希も樹も話さないのよねぇ。
男の子って、やっぱりそういうものなのかしらね？
あ、でも、樹には舞花ちゃんがいてくれてるから別に心配はしていないんだけど」

溜息つきつき、合いの手をうつ公恵叔母さん。

「まあ、そうなの？
羨ましいわ。
舞花ちゃんにも暫くお会いしてないけれど、きっと可憐なお嬢様に成長されたんでしょうね。
だって穂花さんがこんなに可愛らしいんですもの」