二人に言われて私は記憶を探る。
……遠い日の記憶。
白いもやがかかったみたいに曖昧で朧気だけれど。
何となく思い当たることの欠片を思い出せそうな気がした。
「お庭でね、お茶をいただいていた時にあなたが瑞希と樹と一緒に帰ってきたの。
瑞希は中学生だったかしら?
その日は学校帰りに皆でお泊まり会をする予定でね。
舞花ちゃんは確か体調を崩しちゃって来れなかったのよ。なので、姉さんから穂花ちゃんを任されてね」
「そうそう。
蘭は瑞希くんに会えて、始終はしゃいでいたわ……懐かしいわねぇ」
遠くを見つめるような二人の女性の静かな微笑みに、私はまた記憶を探る。
断片的に思い出すのは広い庭を駆け巡る幼い自分。
見守る大人達。
確か、少し離れた場所で鬼ごっこをして、走り回って私が転んで……。
「……私、転びましたよね……?
その時……」
考える前に口から言葉がつく。
「そうそう!
よく覚えてるわね!
千歳ったら必死な顔をしてあなたをおぶってきてね」
ニッコリと優しい目を私に向けてくれる響社長夫人。
その瞳を最近、何処かで見たような気がするのは気のせいだろうか?
「……千歳、って……」
「あら?
穂花ちゃん、思い出したんじゃなかったの?
有子さんの息子、千歳くんよ。
瑞希と同い年の。
あなた千歳くんとすごく仲が良かったのよ」
公恵叔母さんが私の記憶の不足部分を補ってくれる。
……遠い日の記憶。
白いもやがかかったみたいに曖昧で朧気だけれど。
何となく思い当たることの欠片を思い出せそうな気がした。
「お庭でね、お茶をいただいていた時にあなたが瑞希と樹と一緒に帰ってきたの。
瑞希は中学生だったかしら?
その日は学校帰りに皆でお泊まり会をする予定でね。
舞花ちゃんは確か体調を崩しちゃって来れなかったのよ。なので、姉さんから穂花ちゃんを任されてね」
「そうそう。
蘭は瑞希くんに会えて、始終はしゃいでいたわ……懐かしいわねぇ」
遠くを見つめるような二人の女性の静かな微笑みに、私はまた記憶を探る。
断片的に思い出すのは広い庭を駆け巡る幼い自分。
見守る大人達。
確か、少し離れた場所で鬼ごっこをして、走り回って私が転んで……。
「……私、転びましたよね……?
その時……」
考える前に口から言葉がつく。
「そうそう!
よく覚えてるわね!
千歳ったら必死な顔をしてあなたをおぶってきてね」
ニッコリと優しい目を私に向けてくれる響社長夫人。
その瞳を最近、何処かで見たような気がするのは気のせいだろうか?
「……千歳、って……」
「あら?
穂花ちゃん、思い出したんじゃなかったの?
有子さんの息子、千歳くんよ。
瑞希と同い年の。
あなた千歳くんとすごく仲が良かったのよ」
公恵叔母さんが私の記憶の不足部分を補ってくれる。

