リボンと王子様

「……千歳さんと私では背負っているものが違いすぎます……千歳さんにはお見合い相手の方がいらっしゃるんですよね……?」

「……だとしたら穂花さんはどう思うの?
そのために今は千歳と付き合って、時期がきたら身を引いてくれるの?」

感情が読み取れない有子おばさまの問いかけに。

言葉が出ない。

そんなことはできない。

そんなことはしたくない。

そう言えばいいだけなのに、何かが私を阻む。


「……ごめんなさい。
意地悪な言い方をしてしまったわね。
少し、気になっただけなの。
お見合い相手の方のこと……そうね。
穂花さんには隠さずに話すわ。
その方のお父様がお見合いにかなり、積極的なの。
長いお付き合いのある方だから、あまり失礼な対応はしたくないのが本音。
ただ、千歳と穂花さんがどこまで本気なのか、どの程度の覚悟で付き合っているのか、それを知りたいの。
……付き合い始めたばかりでそんな覚悟を問うのは酷かもしれないけれど……」

「……千歳さんはお見合いのこと……」

「勿論知っているわ。
以前話したから」


有子おばさまの言葉に頭が真っ白になる。

千歳さんがお見合いについて知っていた……?

でも私、何も……。


「千歳に聞いてなかったの?」


有子おばさまの言葉が遠くから聞こえる。