リボンと王子様

「……はい」


カタカタ、と小刻みに震えそうになる手をギュッと押さえつける。

有子おばさまの視線を受けとめる自信がなく、俯いてしまう。


きちんと話そう、説明しようと思っていたのに。

こんな情けない姿を晒していてはいけないのに。

自分で自分を叱るけれど、萎んでいく心を繋ぎ止めれない。


「嫌だ、穂花さん。
私は千歳と穂花さんがお付き合いすることを反対しているわけじゃないのよ。
本当に嬉しいの。
千歳と穂花さんが幸せでいてくれるならそれでいいの。
さっきも千歳に言ったでしょ?
あれはそのままの本心よ。
だからそんなに緊張しないでちょうだい」


意外すぎる有子おばさまの言葉に吃驚する。


「……ただ、それならそうと前もって話してほしかっただけなのよ」


悲しそうに眉を寄せる有子おばさまに。


「も、申し訳ありません……」


頭を下げた。


「穂花さん、本当にやめてちょうだい。
そんなことをしなくてもいいわ。
悩ませてしまってごめんなさいね」

「いえ、有子おばさまは何も悪くないんです。
私が……私がっ……千歳さんに惹かれないって惹かれてはいけないってわかっていたのに……」

「あら、どうして?」


今度は有子おばさまが意外そうに私に尋ねた。