「…じゃ、じゃあ、どうして私なの?」


「決まってんじゃん。俺の言うことちゃーんと聞いてくれそうだったから」





うぐぐっ

ここでも腹黒なんですね、葵くんって…!

そんなことだろうとは思っていたけれど…!!





「…まぁ、それだけじゃないんだけどね」





その瞬間、ブワッと強い風が吹いて。

だから、葵くんが何て言っていたのか、私は全く聞こえなかった




「え?」って聞き返すとにっこりとお得意の笑顔を私に向ける





「なんでもない」





そう言われちゃったら、もう何にも聞けない


首を傾けながら私はお弁当箱のフタを開けた