葵くん、そんなにドキドキさせないで。



***


4時間目の古典の授業

ノートをとりながら、私は心の中でため息をついた





『昼休みになったら屋上集合ってことで』


『えっ、屋上って立ち入り禁止…』


『ふ、俺を誰だと思ってんの?』





どうやって屋上の鍵手に入れたと思う?

とか、葵くんが聞くから首を振ったよ、私は。


だって聞くの怖いもん…



チラッと時計を見ると、あと5分で授業の終わりのチャイムが鳴るところだった





「(陽菜ちゃんになんて言おう…)」





いまだに葵くんとのことを言えないでいる私って…

なんて意気地なしなんだっ



うう…陽菜ちゃんに隠しごとって…ものすごく罪悪感。