多分ここが葵くんの部屋、だよね?
「……田中さん、」
「どうしたの?」
「俺も田中さんに早く会いたかった」
不意打ちの言葉に、口をパクパクとさせることしか出来ない私。
もうっ、ズルイよ、葵くん。
なんとかベッドに寝かせて、熱を測ってもらう。
__ピピピッ。
「わっ、38度だって」
「……お願いだから、もう煽ったりすんなよ」
腕で目元を隠しながらそう言う葵くんに、ちょっとムッとする。
自分のことを心配してほしいよ、私はっ。
「何か食べた?」
「食欲、ない」
ガラスのテーブルの上にある薬にも、手をつけてないみたい。

