ほっぺたを人差し指でかいて、横目で私のことを見る大野くん。
……うん。
「変わらない」
真っ直ぐ目を見てそう言うと、プハッと大野くんは吹き出した。
それから、「あーあ」って、呟いて。
「返事はいらねーって言ったのに」
「いたっ」
「なんで言っちゃうかなー、華子ちゃんは」
容赦のないデコピンをされた私は、思わずその場にうずくまる。
い、痛いよ、大野くん……!
それに、しょうがないんだよ。
「……大野くんのこと、これ以上傷つけたくなかったの」
「は」
ふいに悲しそうな顔を、大野くんはしてたから。
「早く私のこと吹っ切ってほしかった」
葵くんのことを好きなままの私じゃ、一緒にはいてあげられないから。

