葵くん、そんなにドキドキさせないで。



私の言葉をさえぎって、名前を呼んだ大野くんは、

困ったように笑ってた。





「ちゃんと言って。

じゃないと、全然吹っ切れないよ」


「あ……」





ギュッと、スカートの裾を握る。






「……あのね、」






……大野くんの優しいところ、素敵だなって思ってるよ。






「私は、葵くんのことが好きだから、

大野くんの気持ちには応えられない」






ごめんね。


小さくそう言うと、なんだか泣きそうになった。



でも、私が泣くのはおかしいから、絶対に泣かない。





「……やっぱ三河のこと好き、だよなー……」


「……うん」


「それは、絶対変わんねぇの?」