彼の名前を出した瞬間、心配そうな顔で私のことを見つめる。
だ、大丈夫だよっ?
「これからも、友達としてよろしくって」
もともと、葵くんの彼女のフリをする前はただのクラスメイトだった。
あんまり話したことなかったしね。
"友達として"っていうのは、ごめんね、私のワガママなんだ。
せめて、"ただのクラスメイト"じゃなくて葵くんの"友達"になりたい。
「……好きって、言わないの?」
小さくそう聞く陽菜ちゃんに、苦笑いをする。
「私の気持ちは封印するって、言ったでしょ?」
「そうだけど……」
「それに、葵くんのこと困らせたくないの」