ひどいよ、大野くん。
どうして今ここで言ったの?
葵くんを恐る恐る見る。
横目で私達を見ていたけど、すぐに目をそらして、
教室を出て行ってしまった。
「……っ」
泣きそうになる。
別に、何か言ってほしかったわけじゃないけど、
怒ってほしかったわけでもないけど、
でも。
葵くんに構ってもらえてたのは、私が都合のいい女避けだったから、なのかな。
そうだとしたら、悲しい、なぁ……。
もう。こんなんじゃ、気持ちを封印するとか、そんなの出来ないよ。
「ごめんね、華子ちゃん」
スカートの裾をギュッと握っている私にそう言った大野くん。
「三河に、腹が立って。アイツって本当、バカだよね」

