「葵くん……」





小さくそう呟く。


すると、後ろからドンと誰かにぶつかられた。




「わっ!?」





思いがけない衝撃に、ダンボールがスルリと落ちて、廊下にたくさんのプリントが散らばる。





「ごめんなさい!」





遠くのほうで聞こえた声に、ため息をついた。


最近、いいことが全然起こらないのは、絶対気のせいじゃないよね。




一枚一枚拾って、ダンボールの中に戻す。




……なんだか、悲しくなってくるなぁ……。





じんわりと、涙がたまった瞬間、





「あーあ、何やってんの」





すぐ上で、声がかかった。



思わずバッと声のした方を向いてから、目を見開く。





「お、大野くん……?」