「えっ、でも……」
「先生これから職員会議なんだ。遅れたら説教くらっちまう」
うぐっ、そう言われたら断れない。
コクリとうなずいてダンボールを受け取った。
葵くんについさっき、
お人好しな性格をどうにかしろって言われたばっかりなのに、
こうやって頼みごとを引き受けてる私。
だって、しょうがないんだもん……って、また葵くんのこと考えてるし……!
ブンブンと首を振りながら、いつもより静かな廊下を歩く。
……いつもなら、葵くんと一緒に帰ってるはずなんだけどな。
『田中さん、帰ろ』って、
声をかけてくれて、それで、並んで帰ってたはずなのに。
……葵くん、声もかけてくれなかった。
あぁ、本当に終わっちゃったんだなって、嫌でも実感した。

