葵くん、そんなにドキドキさせないで。



「そ、れは、分かんないけど……」


「もうっ、本当に意味分かんない。三河の馬鹿野郎!」






いきなり大きな声を出した陽菜ちゃんに少しだけビックリした。


教室の扉を開けた瞬間、チャイムが鳴る。




「まぁ、とにかく私は、三河との変な関係が終わって正直ホッとしてる」






"華子、振り回されてばっかりだったでしょう?"





陽菜ちゃんの言葉に、私は始まったばかりの日本史の授業でぐるぐると頭を巡らせてた。



……確かに、陽菜ちゃんの言う通りかもしれない。



いきなり彼女になってくれって言われたり、

お昼休みも帰りも、一緒にいさせられたり、

挙げ句の果てには私の困った顔が見たいからって、色んなことしてきたり。



……振り回されてばっかり、だったな。