葵くん、そんなにドキドキさせないで。



「嫌われちゃった……っ」





陽菜ちゃんのハンカチが、私の涙でどんどん濡れていく。


陽菜ちゃんは、優しく背中をさすってくれた。





「落ち着いた?」


「……ん」






スンっと鼻をすすってそう答えたのは、休み時間が終わる2分前。


トイレから出て、急いで教室へと向かう。




「……あのさ、私からしてみたらね、三河は結構華子のこと気に入ってたんじゃないかなって」


「そんなこと、あるわけないよ」


「でも、華子の困った顔が見たいからって、普通あんなにスキンシップする?」


「でも……」




陽菜ちゃんに腕を引っ張られながら廊下を歩いていく。





「大野とのことだってそうじゃん。完璧にヤキモチ妬いてたでしょ」