ど、どうって……。
「こ、困る……」
ドキドキさせてくるんだもん。
そのせいで心臓が痛いよ。
すると、キュッと葵くんの腕に力がこもった。
「……困らせるのが目的だし、当たり前か」
「え?」
ボソッと呟いた声が、上手く聞き取れない。
なんて言ったの?
恐る恐る後ろを見ると、ぱちっと葵くんと目が合った。
自嘲気味に笑う姿に、ドクンと胸が嫌な音を立てた。
葵くん……?
「そーいや、田中さんって好きな人いんの?」
「えっ!?」
「ふーん……いるんだ」
ま、まだ何も言ってないよ!?
「……だれ」
低い声にビクッと肩が上がる。

