こんなことされたら、誰だって葵くんのこと好きになっちゃうよ。



それなのに『好きになられても困る』って言うのは、


少し、ひどい。




それでもやっぱり葵くんの一つ一つの動きにドキドキしちゃうから、恋って厄介だ。




「葵くん?」





私の肩におデコをのせて、動かないでいる葵くん。





「……田中さんさぁ」

「な、なに?」



「俺にこんなことされて嫌じゃねぇの?」





突然の言葉に目を丸くした。


どうして、急にそんなこと……。





「ねぇ。聞いてる?」


「ひゃっ!?」





私の髪を耳にかけて、ふっと息を吹く。


自分の変な声に、慌てて両手で口元を隠した。




「されるがままになってるけど、どう思ってんの」