葵くん、どうしてこんなことを言ったの?
どうして少し悲しそうな顔をしていたの。
帰ってくる言葉を聞くのが怖くて、聞けずにいるけど、
本当は気になってるんだよ。
「田中さん」
名前を呼ばれてハッとした。
振り向くと、屋上の鍵を持っている葵くんがいて。
告白されてたから、かな……なんだか疲れてる?
"私"っていう彼女がいても、やっぱり告白はされるよね。
一昨日も呼び出されてたし。
前よりは減ったって本人は言ってるけど……。
やっぱり葵くんは人気者なんだなって実感すると、少し切なくなる。
「何してんの。行くよ」
「あっ、うん」
屋上へと続く扉をあけて、いつもの場所に寝転がる。

