なんで、大野くんにそんなことを言われなくちゃいけないの?
……どうして、大野くんが不機嫌になるの。
「……私、何か気に触ること、したかな」
「は?」
「大野くんが怒ってる理由が、わかんないよっ……」
理由もなく、大野くんにキスされた。
そのことが悔しくて。
大野くんがどうしてイライラしてるのかも、わからなくて。
ジワっと、なぜか涙がたまっていく。
耐えられなくなって私は教室を飛び出した。
廊下を走っている途中で、授業の始まりを知らせるチャイムが鳴る。
でも、その音を無視して、私は走り続けた。
足を止めた場所は、保健室。