「葵くん……」
小さく呟いた。
なんだか、葵くんに会うのは少し気まずいなぁ。
『……好きになられても困るから』
こんなことを言われてしまったし、
なにより、大野くんにキスされちゃったし。
私の好きな人は葵くんなのに。
友達だと思ってた男子からキスをされてしまった。
か、勝手だけど罪悪感っていうものがあるよ……。
それに、ファーストキスだったのに。
「……わっ」
俯いたまま歩いていたせいで、何かにぶつかってしまった。
慌てて謝ろうと上を向くと、
「うわっ、あ、葵くん!?」
「"うわっ"てなんだよ。喧嘩売ってんの?」
ムッとしている葵くんがいるわけで。