「今日はありがとう。また連絡するから、どこか行きたいところを考えてて」
大阪駅で、そのまま新大阪に向かう神楽さんと別れ、神楽さんが言うところの ”二度目のデート” は終了となった。
環状線に乗るわたしとはホームが違うので、中央改札を入ったところで、簡単に次の約束を交わす。
「わかりました。神楽さんも考えててくださいね」
今回が大阪だったので次は東京にしよう、そこまでは駅まで歩く間に話していたのだ。
「うん。じゃあ、また。奈良まで送れないけど、気を付けてね」
「神楽さんこそ、お気を付けて」
お互いに名残惜しさを醸し出しつつ、わたしたちは、手を振りあったのだった。
けれど、奥のエスカレーターに乗ったわたしが見えなくなるまで、神楽さんはずっと見送ってくれていて、それが、またわたしの気持ちを落ち着かなくさせるのだ。
週末のこの時間、楽しんだ後に帰宅する人が多いのだろうけど、
その中の誰よりも、わたしの胸が高鳴っているのかもしれない。
・・・・好きに、なってしまったんだな・・・・
改めて気持ちを噛み締めていると、神楽さんからメールが届いた。
今日は楽しかった、ありがとう。
気をつけて帰ってね。
三度目のデートを楽しみにしてます。
そんな内容で、敬語混じりの文面に、知らず、笑みがこぼれていた。