〔 今年のお盆も美里は帰られないらしい。仕事が忙しいのはいいことだけど、美里の体が心配 〕


・・・・美里って、わたしと同じ名前?


気になったわたしは、他のページもパラパラ捲る。

この手帳の持ち主はウィークリーのページを日記帳のように使っているみたいで、
4月には、

〔 今年から美里も社会人二年目 〕

6月、

〔 便りがないのは元気なしるし。美里のことが心配だけど、ここは我慢 〕

など、ところどころにわたしと同じ名前が登場してくるのだ。

もちろん、それ以外のことを書いてる日だって多いけれど、その内容から、ここに書かれてある ”美里” はわたしのことで、おそらくこれは母の手帳だと思った。

だけど、確信を得るために日付を進めたり戻したりしているうちに、1月のページで、ギクリとしてしまう。


〔 年末あたりから、美里の声が元気ない気がする。仕事で何かあったのかも 〕


年末・・・・・


わたしには、大きな心当たりがあった。


仕事を辞めるきっかけになった出来事が、その頃に起こったからだ。


去年、クリスマス前のきらびやかな街並みの中、心が握りつぶされそうに感じた光景を、思い出してしまいそうになる―――――――――――――