今日も定時になれば、隣の後輩が席を立ち上がる。


彼は同期と休憩に必ず出掛けていく。


金曜になれば、同期の飲み会やら開催される事が多く、定時に退社する事も多い。


まだ2年目の彼らの同期は仲が良い。


私みたいに年を重ねるごとに、行けない人も多くなり、飲み会も少なくなってしまう。


私は残っている作業をコツコツと進めていく。



「片桐さん、お疲れ様です。」



山中の声に顔を向ければ、手に美味しそうな有名カフェの飲み物を持っていた。


差し出された飲み物を受け取る。



「いいの?」


「はい。いつも遅くまでお疲れ様です。」


「あ、ありがとう。」



山中は優しい。


同期と休憩に出掛けた先で、こうやって差し入れをしてくれる。


甘めの飲み物を口に含めば、疲れた体に染み渡っていく。



「美味しい。山中くん、ありがとう。」



にっこりと微笑めば、彼の照れ笑いが返された。