大樹とランチをしていれば、携帯がメッセージを受信するバイブ音が聞こえる。


テーブルの上に置いた携帯が光る。



『莉乃、どの店?』



陽平からだ。


陽平は何を食べてるんだろうか。


フタバ食品の近くで食べるのだろうか。



『駅の近くにあるイタリアン』


『空いてる?』


『う〜ん、混んでる』



陽平とメッセージのやり取りをしていれば、目の前の大樹の視線を感じた。


携帯から大樹へ視線を上げた。



「双葉さん?」


「うん。」


「心配で仕方ないんだ。」


「…………いや、ランチの店を探してるのかな?」


「莉乃、分かってないな。」



心配?


さっきは『楽しんで………』って言われた気もするが。


陽平は私の気持ちが大樹にない事を知っている筈だ。


なのに心配?



「俺、一応元彼だし。やっぱり複雑でしょ。莉乃も逆の立場なら、気になって仕方ないでしょ。」



そう言われれば…………逆の立場なら気になるかもしれない。