駅で山中と合流した私はバーへと足を踏み入れた。


入り口には池田さんが待っていた。



「片桐さん、あそこ。」



池田さんに指された場所を見て、私の目は見開いていく。


衝撃な光景が目に映り込んできたのだ。



「陽平?」


「片桐さんの彼氏でしょ?合コンらしいですよ。」


「…………。」


「誕生日に合コンなんて……何を考えてるんだか。」



池田さんの言葉に唇を噛み締めた。



「最近は見かけませんでしたが、今日飲みに来たら偶然見かけたので。」


「私が文句を言って…………。」


「紗奈(さな)、やめろって。」


「だって片桐さんを騙して。」


「でも紗奈が行くな。これは片桐さんの問題だ。」


「一(はじめ)は黙って見過ごせって?」


「そんな事は言ってない。けど片桐さんの…………。」


「私の問題だね。」



言い争う2人の声に割って入った。


聞いたことない程の低い声が吐き出されていた。