遠くで携帯の鳴る音が聞こえてくる。


私は手を伸ばして携帯を探す。



「はい。」


「片桐さん?」


「うん、山中?」


「寝てました?」



声から寝起きなのがバレたみたいだ。


私は大きく伸びをして携帯を持ち直した。



「山中、どうしたの?」


「今から飲みません?この前のバーで。」


「…………なんで今?」


「見せたいモノが…………あっ、ちょっと。」



山中が慌ててる声がする。


何をしてるのだ?



「片桐さん、今すぐに来て。山中を迎えに行かせる。」


「池田さん?」


「それより今すぐに来て。待ってますよ、片桐さん。」



携帯が切れた。


いつも嵐のようだ。


届いたメッセージを開けば、バーの場所が送られてきていた。



『急いで』



こんなメッセージまで。


私は仕方ないので支度をして、指定されたバーへ急いだ。