❀ お嬢様華伝 ❀

「昨日、麗にキー…」

「それ以上先は、言ったらダメだろ?蛍」


蛍が、“キス”と言う直前に、凛ちゃんが後ろから蛍の口に手を当てた。


…間一髪。


背の高い凛ちゃんの腕の中に納まる蛍は、まるで子供のよう。


「なにすんだよ、凛太郎っ」

「それは、言う必要がないことだから」

「なんで?」


不服そうに、首を傾げる蛍。


そんな蛍に、凛ちゃんのあとに現れた紫恩が耳打ちした。