❀ お嬢様華伝 ❀

…父ちゃん。

父ちゃんっ…!


溢れ出しそうな思いを堪えて、あたしは父ちゃんの名前が書かれた病室のドアを開けた。


「父ちゃん…!!」


そこで、目に飛び込んできたのはっ…。


「お〜っ、麗!久しぶりっちゃね〜!」


なんと、作業着姿の父ちゃんがベッドに腰掛けて、満面の笑みであたしに手を上げていた。


「麗〜!着くの、遅かったっちゃね!船の時間が合わんかったっちゃ?」