「もう、手遅れで。」


「薬物療法しか、手は無くて。けど、それは一時的な延命治療に過ぎない。」


ああ、悲しい顔をしてるな。


「だからこそ。先輩。今度…祐香と最後に会いたい場所があるんです。」


きっと、これが彼女と会うのは最後になるだろう。


「ああ、何処だ?」


「彼女に思いが通じた、海です。そこに、連れていって偶然会うのを装って、少し話をしたいなって。」