「駆くん、駆くんのお父さんの病院まで何分くらい?」 「5分。救急車呼ぶより、車で運んだ方が早いから、手伝ってくれるか?」 血を流し、息をしない和翔くんがあの日の和翔くんに重なって見えた。 今度こそ、ちゃんと助けられなかった。 また、助けられなかった。 「うん。」 泣いている美夜さんと、それを支えるお兄さんを横目で見ながら私は振動を与えないように和翔くんを支えた。