「……。」 電話越しから伝わる、重苦しい雰囲気。 「忘れるわけ、無いよ。」 「…」 「あいつが、和翔から陸上を奪ったんだ。理由とか、死んだとか、そんなの俺らからしたら関係ない。俺ら家族は、一生許せない人だよ。伊藤健二は。」 やっぱり、そうだ。 その人は、あの事故の加害者だ。 「それを聞いてくるってことは、気付いちゃったんだね。祐香ちゃんは。」