すっかり緊張から解放された凶姫は、皆が部屋を出て行って朔と二人きりになると、まっしろに白粉を塗った顔を背伸びして朔に見せた。
「塗りすぎと思わない?」
「お前は元々色白だけど、白粉を塗ると透き通って見えるな。触れるのか?触ってもいい?」
「お化粧が崩れるから駄目よ。柚葉が作ってくれたこのお着物素敵よね。あの子ったら赤ちゃんができたなんて一言も言ってくれなかったから驚いたわ」
「うん、暁のひとつ下になるわけだけど…女ならお前と柚葉みたいに親友になれるし、男なら暁を傍で守ってくれるだろう。ははっ、盤石だな」
心底嬉しかった。
妻を迎えること、弟も妻を迎えてしかも子に恵まれたこと――
ふいに目頭が熱くなって目元を片手で覆った朔の唇が震えていることに気が付いた凶姫は、化粧が崩れないように気を付けながら朔の身体に腕を回して抱きしめた。
「素敵な一日にしましょう。でも足が疲れたら私を抱き上げてね」
「うん、任せて。さあ、行こうか」
凶姫と柚葉は元々遠方の出ったがすでに屋敷に住んでいるため、花嫁行列は屋敷を出発して幽玄町の大通りを練り歩き、再び屋敷に戻って来る順路にしようと皆で話し合っていた。
その通達もすでに幽玄町に貼り出されていたため、屋敷の前には人々が大挙して押し寄せていた。
今日だけは、彼らを正面切って見れる日だ。
当主の祝言を見れるなどなかなかないことで、子々孫々語り継いでいくのだと息巻いている者も多い。
――朔たちが部屋を出た頃、輝夜と柚葉は別室で手を取り合って微笑み合っていた。
「お嬢さん、絶対に転ばないで下さいね。ああなんだか冷や冷やするなあ」
「大丈夫ですよ、鬼灯様がずっと手を繋いでいてくれるんでしょう?大丈夫大丈夫」
楽観的な柚葉に対して妊娠が発覚してから気が気でない輝夜は、慎重に柚葉の手を取って部屋を出た。
玄関には雪男や銀、氷輪や白雷などこの屋敷に常駐する者たちが列を作り、先に玄関を降りた朔と輝夜が下駄を履いた凶姫と柚葉の手を取る。
「さあ、始まりの始まりだ。皆に祝福してもらおう」
おお、と歓声が沸く。
胸を張って意気揚々と玄関を出て、大通りに出る所にある門まで集結した百鬼一同と共に進む。
朔たちの姿を見た人々が大きな歓声を上げた。
花嫁行列が、始まった。
「塗りすぎと思わない?」
「お前は元々色白だけど、白粉を塗ると透き通って見えるな。触れるのか?触ってもいい?」
「お化粧が崩れるから駄目よ。柚葉が作ってくれたこのお着物素敵よね。あの子ったら赤ちゃんができたなんて一言も言ってくれなかったから驚いたわ」
「うん、暁のひとつ下になるわけだけど…女ならお前と柚葉みたいに親友になれるし、男なら暁を傍で守ってくれるだろう。ははっ、盤石だな」
心底嬉しかった。
妻を迎えること、弟も妻を迎えてしかも子に恵まれたこと――
ふいに目頭が熱くなって目元を片手で覆った朔の唇が震えていることに気が付いた凶姫は、化粧が崩れないように気を付けながら朔の身体に腕を回して抱きしめた。
「素敵な一日にしましょう。でも足が疲れたら私を抱き上げてね」
「うん、任せて。さあ、行こうか」
凶姫と柚葉は元々遠方の出ったがすでに屋敷に住んでいるため、花嫁行列は屋敷を出発して幽玄町の大通りを練り歩き、再び屋敷に戻って来る順路にしようと皆で話し合っていた。
その通達もすでに幽玄町に貼り出されていたため、屋敷の前には人々が大挙して押し寄せていた。
今日だけは、彼らを正面切って見れる日だ。
当主の祝言を見れるなどなかなかないことで、子々孫々語り継いでいくのだと息巻いている者も多い。
――朔たちが部屋を出た頃、輝夜と柚葉は別室で手を取り合って微笑み合っていた。
「お嬢さん、絶対に転ばないで下さいね。ああなんだか冷や冷やするなあ」
「大丈夫ですよ、鬼灯様がずっと手を繋いでいてくれるんでしょう?大丈夫大丈夫」
楽観的な柚葉に対して妊娠が発覚してから気が気でない輝夜は、慎重に柚葉の手を取って部屋を出た。
玄関には雪男や銀、氷輪や白雷などこの屋敷に常駐する者たちが列を作り、先に玄関を降りた朔と輝夜が下駄を履いた凶姫と柚葉の手を取る。
「さあ、始まりの始まりだ。皆に祝福してもらおう」
おお、と歓声が沸く。
胸を張って意気揚々と玄関を出て、大通りに出る所にある門まで集結した百鬼一同と共に進む。
朔たちの姿を見た人々が大きな歓声を上げた。
花嫁行列が、始まった。

