百鬼夜行から戻って来た朔と輝夜は、凶姫に息せき切って出迎えられて、何度も言葉に詰まりながら話した内容にふたり目を輝かせた。


「それは本当か」


「本当なら兄さん、最強の布陣が出来上がりますね。天満の速さは私たちの中で一番ですし、彼が刀術を怠っていないならば私たちに引けを取らないはず。で、天満はどこに?」


「暁と寝てます。朔、あのふたり親子みたいなの。寝顔がすごく似てて…前世は親子なのかも」


その寝顔を見に行った朔は、暁が天満の指をきゅっと握って離さないまますやすや寝ている姿に頬を緩め、気配に気付いた天満が目を開けて起き上がろうとするのを手で制した。


「そのままでいい。天満、後見人その他諸々の件は了承してくれたんだな?」


「はい、芙蓉さんから許しを貰いました。でも朔兄…僕、ものすごく甘やかしますよ?」


「はははっ、それはうちの家系の気質だから仕方ない。父代わりというか別に俺は死んだわけじゃないけど、お前には俺と同じ立場になってもらう。暁を我が子と思って一緒に育ててくれ」


天満は嬉しそうに少し垂れた目を細めて笑み、密かに凶姫をきゅんとさせていた。

朔と輝夜を足して割ったような美貌――目の保養が増えて、内心ものすごく喜んでいた。


「あぶぅ」


「起きたか、どれ」


暁が目覚めると手を伸ばしてきてややほっとした。

いくら天満に懐いているとはいえやはり実父が一番らしく、にこにこしながら朔の腕に抱かれて足をばたばたさせていた。


「子とはいいものだな。輝夜、お前も早く作った方がいい」


「ふふふふ、そうですね」


不敵な笑みを浮かべて朔たちに気味悪がられて、さらに含み笑い。