宵の朔に-主さまの気まぐれ-

うつ伏せになって荒い息を吐きながら一体何が起きたのだろうかとぼんやり考えていると、輝夜の唇が背中を伝って思わず声が漏れた。


「もう…何してるんですか…」


「身体は…平気ですか?痛い所は?」


「よく分かりません。強いて言うなら腰から下が痛いような…」


「そうですよね、痛いですよね。こんな野外であなたの処女を頂くことになるとは想像していなかったので…ごめんなさい」


なるべく体重をかけないように背中から覆い被さられた輝夜の体温が心地よく、絡められた指をじっと見つめてもごもごと口ごもった。


「…胸…小さかったでしょう?」


「特にそう感じませんよ。人ならば大きい方ですし、鬼ならば小さい方と言った方がいいかもしれませんね」


「…人なら?私思ったんですけど…鬼灯様はやっぱり女慣れしてますよね。求められたらそれこそ断らなかったんでしょう?」


「え……そう…ですね、隠すことでもないのでそこは正直にお答えしますよ。多分兄さんよりだいぶ経験してるんじゃないでしょうか」


――訊いてみたもののその答えに頬を膨らませていると、肩を引かれて仰向けにされた柚葉は、特上の笑顔に出会って頬を赤く染めた。


「ですが、私は特別な方を見出したのでもうそんなことはしません。お嬢さんの処女、美味しく頂きました。ありがとう」


「そ、そんなお礼なんて…私こそ今まで逃げていてごめんなさい」


輝夜は頬杖をついて柚葉の頬をちょんと突いて身体に着物をかけてやると、抱き寄せて問うた。


「で、あなたが独り暮らしをする件ですが…」


「ああ…それでしたら…私、独り暮らしするつもりでしたけど…」


「二人暮らしにしてもらえますか?」


「それだとせっかく鬼灯様が戻って来たのに主さまが寂しがると思うんです。だから通いたいと思ってて…私、あのお屋敷に住んでいてもいいんでしょうか」


輝夜は目を瞬かせてぷっと吹き出して妖艶な笑みを浮かべた。


「もちろんですとも。私の次の野望は、あなたに私の‟お嫁さんになりたい”と言わせることです。ああ、ゆっくりでいいですからね、考えて下さいね」


――今、求婚された?

今度は柚葉が目をぱちぱち瞬かせてまた輝夜は吹き出しながら、にっこり。


「じゃあ帰る前にもう一回しましょうか」