「ねえ輝ちゃん、柚葉ちゃんとはどうなったの?」
「え…なんですか藪から棒に」
「輝ちゃんは柚葉ちゃんのこと好きなんでしょ?見てたら分かるもの」
母の勘は鋭く、別に隠し立てすることでもないかと考えた輝夜は、正座したままこくんと頷いた。
「ええ、まあ…想いは同じだと分かったところです」
「そうなんだ!?朔ちゃんに続いておめでたいことだね!おめでとう!」
ぎゅうっと抱きしめられて照れてはにかんだ輝夜だったが…息吹が紡いだ言葉に凍り付いた。
「でも朔ちゃんみたいに夫婦になる前に赤ちゃんができるっていうのは駄目だからね」
「……え?」
「女の人に手の速い十六夜さんでも、私と夫婦になるまでは手を出してこなかったんだから、輝ちゃんは守れるよね?守れないと、私…すっごく怒るよ?」
――母が本気で怒ることなど今まで滅多に見たことはない。
いざそれが自分の身に降りかかるとなれば想像すらできず、輝夜はかくかくと頷いて冷や汗をかいた。
「ええと…つまりそれは…」
「つまりそれは、夫婦になる前に柚葉ちゃんに手を出したらすっごく怒るよ、って話です」
「え、ええと…ですが私は半分は妖の身なので、人の道理はちょっと…」
「私…小さい頃からちゃんと教えてきたよね?そんなことする軽薄な男になっちゃ駄目だよって言ってきたよね?だから朔ちゃんのことものすごく叱ったんだから。私に怒られたい?」
「いいえそれは…怒られたくありません…」
「じゃあ分かってもらえるんだね!うん、輝ちゃんなら分かってくれるって思ってたよ。父様が帰ってきたらちゃんと報告してあげてね、すっごく喜ぶと思うから」
「ああ…はい…」
歯切れ悪く返事をしたが、母はそれに気付いた様子がなく、足取りも軽やかに後片付けのために台所に向かった。
「ご愁傷様」
縁側に居た雪男に慰められて肩を落とした輝夜だったが――
この生真面目な男は、馬鹿正直にそれを守って柚葉を混乱させることになる。
「え…なんですか藪から棒に」
「輝ちゃんは柚葉ちゃんのこと好きなんでしょ?見てたら分かるもの」
母の勘は鋭く、別に隠し立てすることでもないかと考えた輝夜は、正座したままこくんと頷いた。
「ええ、まあ…想いは同じだと分かったところです」
「そうなんだ!?朔ちゃんに続いておめでたいことだね!おめでとう!」
ぎゅうっと抱きしめられて照れてはにかんだ輝夜だったが…息吹が紡いだ言葉に凍り付いた。
「でも朔ちゃんみたいに夫婦になる前に赤ちゃんができるっていうのは駄目だからね」
「……え?」
「女の人に手の速い十六夜さんでも、私と夫婦になるまでは手を出してこなかったんだから、輝ちゃんは守れるよね?守れないと、私…すっごく怒るよ?」
――母が本気で怒ることなど今まで滅多に見たことはない。
いざそれが自分の身に降りかかるとなれば想像すらできず、輝夜はかくかくと頷いて冷や汗をかいた。
「ええと…つまりそれは…」
「つまりそれは、夫婦になる前に柚葉ちゃんに手を出したらすっごく怒るよ、って話です」
「え、ええと…ですが私は半分は妖の身なので、人の道理はちょっと…」
「私…小さい頃からちゃんと教えてきたよね?そんなことする軽薄な男になっちゃ駄目だよって言ってきたよね?だから朔ちゃんのことものすごく叱ったんだから。私に怒られたい?」
「いいえそれは…怒られたくありません…」
「じゃあ分かってもらえるんだね!うん、輝ちゃんなら分かってくれるって思ってたよ。父様が帰ってきたらちゃんと報告してあげてね、すっごく喜ぶと思うから」
「ああ…はい…」
歯切れ悪く返事をしたが、母はそれに気付いた様子がなく、足取りも軽やかに後片付けのために台所に向かった。
「ご愁傷様」
縁側に居た雪男に慰められて肩を落とした輝夜だったが――
この生真面目な男は、馬鹿正直にそれを守って柚葉を混乱させることになる。

