凶姫の表情が怒りに満ちたと同時に、柚葉の表情もみるみる複雑なものとなって黙り込んだ。
居間には妙な空気が流れて、居心地悪くなった雪男は朧と共にその場をそっと離れて逃げたが――輝夜はどこ吹く風で隠しても仕方ないと肩を竦めて朔を窘めた。
「兄さん、隠すと余計に修羅場になりますよ」
「修羅場っていうか…あの人は師匠だったじゃないか。お前もよく知っているだろう?」
「ええまあそうなんですけど…。私は格闘以外教わりませんでしたからねえ」
「格闘以外ってどういうことよ。月、あなたは格闘以外もその人から教わってたってこと?」
困り果てて頬をかく朔の腕に爪を立てた凶姫は、身を乗り出してさらに爪を食い込ませた。
「ちゃんと話して。どういうことよ」
「…死んだ師匠を非難されたくはないから答えない。秘密のひとつやふたつ誰しもあるじゃないか。輝夜、お前も軽はずみに話すんじゃないぞ」
「すみません」
謝ったものの心のない謝罪に朔はため息をついて立ち上がり、自室に入ってしまって手の出しようがなくなった凶姫は、輝夜の前に仁王立ち状態。
「うわあ、怖いなあ」
「男と女の仲だったってことなの!?」
「ええと、兄さんにくぎを刺されたので私からはなんとも。でもとても気さくでいい方でしたよ。では私も失礼を」
輝夜もその場から去り、残った凶姫と柚葉はやるせない気持ちになって地団太を踏んだ。
「私だって死んだ人を悪く言いたくないわよ!でも死んだからこそ話してくれてもいいんじゃないの!?」
「私もそう思いますけど…でも主さまもおつらいみたいだし、そっとしておきませんか?」
「柚葉…あなたって優しいのね、私にはとても無理だわ」
ふんまんやるかたない凶姫は、足音高く庭に下りてむしゃくしゃしながら池の鯉に餌を投げつけて不満をぶつけた。
居間には妙な空気が流れて、居心地悪くなった雪男は朧と共にその場をそっと離れて逃げたが――輝夜はどこ吹く風で隠しても仕方ないと肩を竦めて朔を窘めた。
「兄さん、隠すと余計に修羅場になりますよ」
「修羅場っていうか…あの人は師匠だったじゃないか。お前もよく知っているだろう?」
「ええまあそうなんですけど…。私は格闘以外教わりませんでしたからねえ」
「格闘以外ってどういうことよ。月、あなたは格闘以外もその人から教わってたってこと?」
困り果てて頬をかく朔の腕に爪を立てた凶姫は、身を乗り出してさらに爪を食い込ませた。
「ちゃんと話して。どういうことよ」
「…死んだ師匠を非難されたくはないから答えない。秘密のひとつやふたつ誰しもあるじゃないか。輝夜、お前も軽はずみに話すんじゃないぞ」
「すみません」
謝ったものの心のない謝罪に朔はため息をついて立ち上がり、自室に入ってしまって手の出しようがなくなった凶姫は、輝夜の前に仁王立ち状態。
「うわあ、怖いなあ」
「男と女の仲だったってことなの!?」
「ええと、兄さんにくぎを刺されたので私からはなんとも。でもとても気さくでいい方でしたよ。では私も失礼を」
輝夜もその場から去り、残った凶姫と柚葉はやるせない気持ちになって地団太を踏んだ。
「私だって死んだ人を悪く言いたくないわよ!でも死んだからこそ話してくれてもいいんじゃないの!?」
「私もそう思いますけど…でも主さまもおつらいみたいだし、そっとしておきませんか?」
「柚葉…あなたって優しいのね、私にはとても無理だわ」
ふんまんやるかたない凶姫は、足音高く庭に下りてむしゃくしゃしながら池の鯉に餌を投げつけて不満をぶつけた。

