「え…これを私に?素敵…!」
柚葉がはにかみながら差し出した淡い桃色の着物と淡い黄色の帯を贈られた息吹は、目を輝かせて声を上げた。
「息吹さんには色々優しくして頂いたので何か恩返しにと思ったのですが…これ位しかできなくて…」
「ううん、すごく素敵だし、こんな素敵なものを作れるなんて柚葉ちゃんすごい!後で着てみてもいい?」
「はい」
息吹のあまりの喜びように、凶姫はこみ上げる緊張を隠せずそわそわしていた。
柚葉の特技は本当にすごいと思っていたからこそ、たかが少しできるだけの舞いで息吹が喜んでくれるか――汗ばむ手を何度もこすり合わせては朔に笑われていた。
「ふふ」
「な、何よ笑わないで。あの…息吹さん、私は柚葉みたいに何か形に残してあなたにあげられるような器用さはありません。だから私の唯一の特技をあなたにお見せしますけど、喜んでもらえるかどうか…」
「舞い?姫ちゃんが?わあ、嬉しいっ。ちょっと待っててね、私お茶淹れてくるから!」
「母様、俺は酒がいいんですが」
息吹が台所に行っている間、さらに緊張の度合いが増した凶姫は、何度も柚葉に背中を摩られて励まされていた。
「大丈夫ですよ姫様。あなたの舞いで感動しない人なんて居ないんですから。自信持って」
「そ…そうよね、私は舞姫だったんだもの。これでお金を貰ってたんだから」
――すう、と息を吸い込んで大きく吐き出した凶姫は、ゆっくり立ち上がって胸元から扇子を取り出すと、庭に裸足で降りて降り注ぐ桜の花びらを見上げた。
見えはしないが、この庭には桜の大樹が多く植えられてあり、ゆっくり扇子を開いた凶姫は、それを頭上に掲げて精神を統一すると、やわらかく膝を折って扇子をこれもゆっくり振り下ろす。
息吹が茶と酒を盆に乗せて戻って来た時はすでに凶姫の舞いは始められていて、まるで凶姫のために降り注いでいるような桜の花びらと、天上の舞姫のように美しいその舞いと表情にため息が漏れた。
「綺麗…」
「ええ…本当に」
朔もこの時はじめて凶姫の舞いを目にして、視線を外すことができず、息もすることができず、見入った。
柚葉がはにかみながら差し出した淡い桃色の着物と淡い黄色の帯を贈られた息吹は、目を輝かせて声を上げた。
「息吹さんには色々優しくして頂いたので何か恩返しにと思ったのですが…これ位しかできなくて…」
「ううん、すごく素敵だし、こんな素敵なものを作れるなんて柚葉ちゃんすごい!後で着てみてもいい?」
「はい」
息吹のあまりの喜びように、凶姫はこみ上げる緊張を隠せずそわそわしていた。
柚葉の特技は本当にすごいと思っていたからこそ、たかが少しできるだけの舞いで息吹が喜んでくれるか――汗ばむ手を何度もこすり合わせては朔に笑われていた。
「ふふ」
「な、何よ笑わないで。あの…息吹さん、私は柚葉みたいに何か形に残してあなたにあげられるような器用さはありません。だから私の唯一の特技をあなたにお見せしますけど、喜んでもらえるかどうか…」
「舞い?姫ちゃんが?わあ、嬉しいっ。ちょっと待っててね、私お茶淹れてくるから!」
「母様、俺は酒がいいんですが」
息吹が台所に行っている間、さらに緊張の度合いが増した凶姫は、何度も柚葉に背中を摩られて励まされていた。
「大丈夫ですよ姫様。あなたの舞いで感動しない人なんて居ないんですから。自信持って」
「そ…そうよね、私は舞姫だったんだもの。これでお金を貰ってたんだから」
――すう、と息を吸い込んで大きく吐き出した凶姫は、ゆっくり立ち上がって胸元から扇子を取り出すと、庭に裸足で降りて降り注ぐ桜の花びらを見上げた。
見えはしないが、この庭には桜の大樹が多く植えられてあり、ゆっくり扇子を開いた凶姫は、それを頭上に掲げて精神を統一すると、やわらかく膝を折って扇子をこれもゆっくり振り下ろす。
息吹が茶と酒を盆に乗せて戻って来た時はすでに凶姫の舞いは始められていて、まるで凶姫のために降り注いでいるような桜の花びらと、天上の舞姫のように美しいその舞いと表情にため息が漏れた。
「綺麗…」
「ええ…本当に」
朔もこの時はじめて凶姫の舞いを目にして、視線を外すことができず、息もすることができず、見入った。

