凶姫はその後も朝まで駄々をこねた。
柚葉が困っているのは分かっていても、それを止めることはできなかった。
そしてまた朔も、柚葉の小さな異変が重なり重なって澱のように心に積み重なっていって、百鬼夜行中に銀から背中を叩かれた。
「どうした朔。ふてくされているな?」
「最近色々うまくいかなくて少し苛ついてるだけだ」
「ああ、あの娘たちのせいか。もてる男はつらいな」
「そういう話じゃない。柚葉の様子がおかしくて、俺が避けられてる。意味が分からない」
――銀や雪男はこと女関係に関しては百戦錬磨。
朔もまたそれに近いが、朔の場合は決定的に女心が分からないという難点があり、銀は面白い玩具を見つけたと言わんばかりにふわふわの白い尻尾をふりふりすると、朔の隣に並んで刀を鞘に収めて牙を見せて笑った。
「あの初心そうな娘の方だな。あの娘は息吹に雰囲気が似ていて俺は気に入ってるが」
「…お前には何故俺が避けられているか分かるか?」
「ふむ、恐らく」
「言ってみろ」
「馬鹿か、そういうのは自分で探して自分でどうにかするものだ。雪男もそう言っただろう?」
…まさしく。
したり顔の銀にむっとした朔は、銀の尻尾をつねって悲鳴を上げさせると、同じく刀を鞘に収めて明けてくる空を見上げた。
「戻るぞ」
そして幽玄町の屋敷に戻ったら戻ったでやはり柚葉の様子が気になり、部屋に立ち寄ると――何故か凶姫が柚葉の膝枕で寝ていた。
「どうした?」
「あ、いえ…姫様に悩みを打ち明けたらそれは嫌だと駄々をこねられて」
「悩み…か。柚葉、俺は…」
「主さまに聞いて頂きたいお話があるんです。姫様を寝かしつけたら居間の方でお会いできますか?」
「うん」
やっとまともに話せてほっとした朔が部屋を出て行くと、柚葉はぶつぶつ文句を言いながらそっと凶姫の身体を畳みに横たえさせて掛布団をかけた。
「全く主さまも姫様も人の悩みを聞き出そうとして無神経すぎるんだから。…でも嫌いになれないから本当に不思議」
そしてこの後も柚葉の気苦労は続いた。
柚葉が困っているのは分かっていても、それを止めることはできなかった。
そしてまた朔も、柚葉の小さな異変が重なり重なって澱のように心に積み重なっていって、百鬼夜行中に銀から背中を叩かれた。
「どうした朔。ふてくされているな?」
「最近色々うまくいかなくて少し苛ついてるだけだ」
「ああ、あの娘たちのせいか。もてる男はつらいな」
「そういう話じゃない。柚葉の様子がおかしくて、俺が避けられてる。意味が分からない」
――銀や雪男はこと女関係に関しては百戦錬磨。
朔もまたそれに近いが、朔の場合は決定的に女心が分からないという難点があり、銀は面白い玩具を見つけたと言わんばかりにふわふわの白い尻尾をふりふりすると、朔の隣に並んで刀を鞘に収めて牙を見せて笑った。
「あの初心そうな娘の方だな。あの娘は息吹に雰囲気が似ていて俺は気に入ってるが」
「…お前には何故俺が避けられているか分かるか?」
「ふむ、恐らく」
「言ってみろ」
「馬鹿か、そういうのは自分で探して自分でどうにかするものだ。雪男もそう言っただろう?」
…まさしく。
したり顔の銀にむっとした朔は、銀の尻尾をつねって悲鳴を上げさせると、同じく刀を鞘に収めて明けてくる空を見上げた。
「戻るぞ」
そして幽玄町の屋敷に戻ったら戻ったでやはり柚葉の様子が気になり、部屋に立ち寄ると――何故か凶姫が柚葉の膝枕で寝ていた。
「どうした?」
「あ、いえ…姫様に悩みを打ち明けたらそれは嫌だと駄々をこねられて」
「悩み…か。柚葉、俺は…」
「主さまに聞いて頂きたいお話があるんです。姫様を寝かしつけたら居間の方でお会いできますか?」
「うん」
やっとまともに話せてほっとした朔が部屋を出て行くと、柚葉はぶつぶつ文句を言いながらそっと凶姫の身体を畳みに横たえさせて掛布団をかけた。
「全く主さまも姫様も人の悩みを聞き出そうとして無神経すぎるんだから。…でも嫌いになれないから本当に不思議」
そしてこの後も柚葉の気苦労は続いた。

