突如、


「……っ、」


胸元に耳を近づけてきた。


「せ、セクハラ!」

「触ってないよ?」

「愛の場合は近づいてきたらもうアウト!」

「心配しなくても下心なんてないさ。今は。ほんの数パーセントしか」

「あるんかい!」


それに……

“今は”ってなに、“今は”って。


「そりゃあボクも男の子だからね。手を出したくないか、出したいかで言われたら……出したいよ?」

「!!」

「でもね。今はただ、梁ちゃんの鼓動が聞きたいだけ」

「聞こえるわけ無いでしょ、そこからじゃ……」

「じゃあ、こうしよう」


「……ひゃ、」


「なに、その声。可愛い。
 プリーズ・リピート・ミー」

「だれが繰り返すか! 勝手に出たんだよ!」

「いいねぇ。それじゃあ、もっと勝手に出ちゃうことしようかなぁ……?」

「ほんの数パーセントって嘘だよね? 99%あるよね?」

「やだなぁ。ボクは、紳士さ」

「こんなことしながら言っても説得力ないよ」


今、あたしは、


――愛の胸の中にいる……。