ヤンデレくんとツンデレちゃん

穏やかに微笑み、

あたしを優しく見下ろすその視線は

奇妙でも変人でもなく


――王子様のようで。


「もっともボク自身は、ちっとも無理してるなんて思ってないけどね?」

「……自覚してよ」

「だって、ほら。ボクってば、梁ちゃんが原動力だし。いないと動かないし」


あたしはあんたの電池か。


「ぶっ倒れるくらいまで疲れてるくせに」

「あれは、体調管理できてなかったボクの問題さ。これからはもっと気をつける。ボクの身体のこと心配してくれてありがとう、梁ちゃん」

「……っ、心配なんか、」

「ボクさ、こうして梁ちゃんといられるだけでとても幸せだよ」

「また……そんな恥ずかしこと、さらっという」

「思ったままのこと口にしただけ」

「しすぎ」


身体のことだけじゃないよ。

こんな風に思われる資格、あたしにあるとは思えない。


あたし達、身分違いすぎると思わないの?


「ねぇ、梁ちゃん」

「ん?」

「急速にパワーチャージする方法……あるんだよね」


――?


「なんだと思う?」


そう聞かれ、咄嗟に毎朝キスをせがまれることを思い出す。

あのとき『1日のパワーをちょうだい』とか言われることがあるから。