後部座席のドアを閉めると、玉城と呼ばれた女性は運転席には乗り込まずにあたしの方へと戻ってきた。


長い黒髪を前髪までひとまとめにし、後ろに束ねている。


とても綺麗な人。

なんだかボディガードみたいなピリピリした雰囲気を醸し出しているが……。


「あなた」

「はいっ」

「愛と、これ以上関わらないで」


……は?


「あの子は、あなたのせいで無理をしてる」

「……無理?」

「ただでさえハードスケジュールなのに、あなたの送迎をしたり。今日だって、あなたが原因でこんなにヘトヘトになってるんじゃない?」